こんにちは。S&Tの上村です。ポーラ美術館が、現代美術家アイ・ウェイウェイ(艾未未/Ai Weiwei)の彫刻作品『鉄樹根(てつじゅこん)』を新たにコレクションに加え、国立公園内、森の遊歩道にて公開します。

アイ・ ウェイウェイ《鉄樹根》2015年 鉄, 220 x 205 x 205 cm ポーラ美術館蔵

多くの人はご存知と思いますが、アイ・ウェイウェイ(艾未未/Ai Weiwei)とはこんな人です。

艾 未未(アイ・ウェイウェイ)(1957年8月28日-中国・北京生まれ)
中国の現代美術家、行動家です。艾未未は筆ネームだそうです。本名 蔣 未未。
彫刻、インスターレション、建築、キュレーティング、写真、映像など表現領域は多岐にわたります。さらに社会評論家、政治評論家、文化批評家としても活動しています。2008年の北京オリンピックの主会場である北京国立スタジアム(鳥の巣)の建設の芸術顧問に携わったと言うとピンとくる方もいるかもしれませんね\(^o^)/

彼は政治活動家、社会活動家としても有名で、自由と民主主義の思想の下に中国政府のスタンスを公然と批判しています。2008年5月の四川大地震で多くの児童・生徒・学生が校舎の下敷きになり死亡した事件では、被害の全貌を明らかにしない政府に対して、自らのブログを通じて犠牲の実態調査を始めました。

2011年4月3日、北京首都国際空港で「脱税容疑」として逮捕され、81日間拘束され、現在も海外渡航、メディアとの接触を制限されています。

ものすごくヘビーな社会派芸術家です。

今回ポーラ美術館に収蔵されたこの作品は、彼が繰り返し取り組んできた、有機物と人工物、あるいはオリジナルと複製物の間の緊張関係を強く感じさせます。中国の伝統的な技法によって、樹木の一部を鉄で鋳造するスタイルを用いているそうです。

木の根のように目には見えない場所で複雑に絡み合う中国の縁故社会から、切り離され、独立した「個」のあり方、地中から白日の下に晒された力強い姿を象徴しているんですって!

この作品はあえて錆止めの加工が施されていないそうです。時間の経過と共に生の鉄が、自然に晒され時とともに緑青に覆われてゆく姿が目に浮かんできます。箱根の豊かな自然の中に設置された鉄の彫刻が、有機物の時間とは異なる、人工物の時間を刻みながら長い時をかけてゆっくりと朽ちてゆく姿は、私たちに自然界と文明との関係について考えさせているかのようですね。

とっても素晴らしい作品だと思います。

皆さんも箱根に行かれた際はぜひご覧くださいね。