こんにちは。S&Tの上村です。現在アートという言葉は広く一般的に使われていますがアートの語源はご存知でしょうか?

英語の art (アート)はラテン語の ars (アルス)に対応し、日本語では「芸術」と訳されます。しかし、ラテン語の ars はギリシア語のテクネー に相当し、本来は「芸術」というより、自然に対置される人間の「技」や「技術」を意味する言葉なんだそうです。フィギュアスケートの採点で「芸術点(artistic impression)」と「技術点(technical merit)」というのがあります。ここでは対比的に使われていますよね。でも実はこれもともとの語源を考えると同じ意味をさすことになっちゃうんですね。語源って面白いですね。

さて、なんでこんな話をしたかというと今回ご紹介するのが、つい先日約30年ぶりに再会してきた方の作品だからです。先日作品を見ながら色々ご説明を受けているとこんな話がありました。「僕が作品を作るときに考えているのは、技巧のことだけだ。そしてその技巧を突き詰めていった結果、出来上がったものはものすごく叙情的なものになる。」とおっしゃっていました。ちょっと私の記憶力が頼りないので細部は違っているかもしれませんが、だいたいこんなところだったと思います。(⌒-⌒; )

まさにアートの語源を思い出すようなお話でした。

そして、ご本人がおっしゃる通り作品はものすごく詩的で、何か物悲しく叙情的な雰囲気を持った作品です。個人的にものすごく好きです。

私が河添さんと初めてお会いしたのは、彼がまだサザビーズにいらっしゃった時のことです。先日も書きましたが、彼がいなければ今私がこの仕事をしていないかもしれないというくらい色々教えて頂きました。私はいまだに彼ほど芸術に造詣が深い方を知りません。現在その才能を遺憾なく発揮しアーティストとしても色々ご活躍されています。まさにアートを見る目が確かなプロが、持てる知識や技術を駆使して作り上げた究極のアートと言えるのではないでしょうか?

そんな彼の作品が本日入荷いたします。かなり無理を言って譲って頂きました。^^;

ご本人の承諾も頂いたので最後にプロフィールをご紹介します。

河添剛(Tsuyoshi Kawasoe)プロフィール *敬称略
慶應義塾大学文学部フランス文学科卒。
美術・音楽評論家、グラフィック・デザイナー、画家、アート・コンサルタント。「ユリシーズ」同人。論文多数。単行本、雑誌、画集、展覧会カタログなどにテキストを寄稿。レコード、CD、DVDへのライナーノーツも数多く手掛けている。日本、フランス、アメリカ、イギリス、オランダで発表。

グラフィックや絵画の仕事としては、ポスター、レコードやCDジャケット、シルクスクリーン・プリント、ブック・デザインなどが中心。また、レオス・カラックス監督の映画『メルド』(オムニバス映画『TOKYO!』の一篇。2008年)の中では絵画作品が効果的に使用された。作品は日本、イギリス、フランス、アメリカで発表されている。

著書
『In Case Of Suzanne Lafont』(ファランステール、1999年)
『フレンチポップス・シックスティーズ』(彩流社、2017年、共著)

監修書(監修と執筆を担当)
『T. Rex photographs by Sukita』(カラーフィールド、1999年)
『T・レックス・ファイル』(シンコーミュージック・エンタテイメント、2005年)
『フリクション ザ・ブック』(ブルース・インターアクションズ、2007年)
『フォト・ライブラリー・シリーズ クイーン』(シンコーミュージック・エンタテイメント、2008年)→アート・ディレクションも担当。
『Zone Tripper / Friction 1978-2008』(カラーフィールド、2008年)→ブック・デザインとアート・ディレクションも担当。
『アシッド・フォーク』(シンコーミュージック・エンタテイメント、2009年)
ユリシーズの本(テキスト/グラフィック/アート・ディレクションを担当)
雑誌『ユリシーズ』vol.1~vol.4(シンコーミュージック・エンタテイメント、2009年から2010年)
『文藝別冊KAWADE夢ムック デヴィッド・ボウイ』(河出書房新社、2013年)
『文藝別冊KAWADE夢ムック ドアーズ』収録「扉から溢出する100枚のアルバム」(河出書房新社、2014年)
『解読 レッド・ツェッペリン』(河出書房新社、2014年)
『文藝別冊KAWADE夢ムック デヴィッド・ボウイ増補版』(河出書房新社、2016年)

美術書/展覧会カタログ
「The Art of Clarity / l’Art de la Clarté」(dans “Memory’s Snapshots” , éditions En Vues, un livre accompage l’exposition Gerard Malanga ”UP TIGHT”, Fnac Etoile, Paris, 1998)

「未来派写真表現とモダニズムの呪い」「作品解説」(イタリア未来派展、名古屋画廊、1999年)

「サンネ・サンネスの写真 死のファンタスム / Photography of SanneSannes : Phantasm of Death」(Sannne Sannes展、リムアート、Kahmann Gallery, Amsterdam, 2011年)

「A Universe of Teeming Fruit in a Magnificent Photography Collection :  Memorandum of 25 Years with Mr. J and the Photographs He Has Loved」(Photographs, Christie’s Paris, 2012)

「鏡の中の青春」(ヨハン・ファン・デル・クーケン展、POST、2015年)

「スクリーン・テストの位相」(in Gerard Malanga & Andy Warhol “Screen Tests / A Diary”, POST, Tokyo, 2017年)

長くなりましたが、ぜひ実物をご自分の目でご覧頂きたいと思います。ご連絡いただければいつでもお見せしますよ。\(^o^)/

本日入荷です!