こんにちは。S&Tの上村です。ここのところ毎日嬉しい驚きが多くて楽しんでいます。何か厄が落ちたのか?(笑)

昨日も某テレビ局が様子見にいらっしゃいましたが、現代アートのあまりの面白さに来週取材していただけることになりました。🤗

いつも思うことですが良いものを見てそしてその上で色々話せば誰でも理解できるんですよね。要するに知らないだけなんです。だから変なものをアートだと思っちゃってるんですよね。😅

この地道な作業が私の日常ですが、できることはなんでもしてきちんとした理解を広めていきたいなと日々活動しています。体が一つなのがもどかしい。(笑)

ま、私ができることなんてタカが知れているんですがそれでもやらないよりはマシです。これが波紋のようにいろんな人に広がっていけばきっとある瞬間から加速していくことを期待しています。

9月の『辺藝』もそんな思いがつまったイベントです。

さて、昨日のプロフェッショナルの話の続きですが、驚いたことがもう一つあったと最後に書きましたよね。それが海外の某メガギャラリーのディレクターの話です。偶然一人のアーティストページを見つけ見ているとなんだか見覚えがあるなと思って確認するとその人の名前でした。本人に確認するとやはり同一人物。

かなり優秀なディレクターでありながらアーティストだったとは驚いたのですが、感心させられたのはその後の彼の一言。

『それは私で間違いありません。利益相反になるのでその話はここではできません。しかし、あなたが見つけてくれたのは非常に嬉しいです。その話は別のメールでお送りします。』

ん〜。まさにプロフェッショナル。抱かれてもいいと思っちゃいました。(笑)

というわけで本日の1品です。

Heir,2020 / Avery Singer
Acrylic on canvas stretched over wood panel
241.9 x 216.5 x 5.7 cm

Avery Singerは1987年ニューヨーク生まれのアーティストです。彼女の両親であるアーティストのジャネット・クスミエスキーとグレッグ・シンガーは、彼女をミルトン・エイブリーにちなんで命名しました。クリエイティブな環境で育ったシンガーは、写真、映像、ドローイングを試しましたが、当時は絵の具を使うことを考えもしなかったそうです。

2008年にフランクフルトのシュテーデルシューレで学び、2010年にニューヨークのクーパーユニオンでBFAの学位を取得しました。在学中は、パフォーマンスやビデオ制作のほか、大工、鋳造、溶接などを駆使した彫刻を制作。卒業後、同級生が展覧会場の設計に使っていたSketchUpで予期せぬ実験をし、デジタルイラストをもとにエアブラシでモノクロの絵を描いたことから、自分が選んだアートフォームを知ることになります。それ以来、シンガーはコンピュータ・プログラムや工業用素材の二項対立的な言語を用いて、絵画の伝統やモダニズムの遺産と関わりながら、作家の手の痕跡を消し去ることに成功しています。

シンガーの初期の作品は、彼女の主題をドラマチックに表現し、芸術家の人生をパロディー化しています。

2013年にベルリンのKraupa-Tuskany Zeidlerで開催された初の個展では、「The Artists」というタイトルにふさわしく、シンガーは芸術家の生活、仕事、社交に関する固定観念を探りました。Press Release Me」と題された大きなシリーズの一部として展示された偽のプレスリリースから、彼女は公認された芸術的言語の生産と社会的存在としてのアーティストを嘲笑しているのです。芸術的な虚勢、酩酊、ナルシシズムの神話にまつわるうんざりするような表現に焦点を当て、「ケルンの画家」というテキストは、存在しないアートシーンの幻想を風刺的に表しています。

2019年のヴェネツィア・ビエンナーレで展示された彼女の最初の自画像「Self Portrait (Summer 2018)」(2018)は、液体ゴム、スプレーボトル、水で薄めた白い塗料を用いた新しいプロセスを取り入れ、霧のかかったガラスの再現を実現しました。

シンガーは、美術史や現在の美術界から取り出した仮想の架空の人物や象徴を用い、期待されていることを覆し、絵画の未来を再展開する実験に成功しています。絵画や映像の対象をしばしば主体として捉え直し、ロマン主義的な見方から脱却することで、彼女は独自の見方を生み出しています。

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