こんにちはS&Tの上村です。昨日は退院後初めて外に連れて行ってもらいました。車に乗せてもらった時は目の焦点が定まらずまたグルグルと目が回り、慣れるのに一苦労。💦
入院している時に初めてベットから出て車椅子に乗せられた時の事を思い出しました。
寝たきり後にそろそろ検査をしなければいけないだろうと言うことで、無理やり車椅子に乗せられて診察室まで行ったのですが、その時の介護士の方がとにかく動きが速い。私を車椅子に乗せるなり物凄い勢いで走り出します。
目はグルグル回るし、焦点は定まらないしと私はヒエ〜ッと。まるでジェットコースターです。
ちょっと進んだところでさすがに気持ち悪くなり、もう少しゆっくり行ってくれるように頼んじゃいました。😅
『あら、ごめん!』と言ったもののその方とにかくおっちょこちょい。マスクを忘れて私を車椅子のまま廊下に残していなくなったり、トイレに車椅子のまま放り込まれて置いていかれたりとその日は大忙しでした。
気持ち悪さよりその方のおっちょこちょいさが面白すぎたのを思い出しました。(笑)
そんな事を思い出しながらお墓参りを無事済ませましたが、まだそれが限界だったようです。そのあとは疲れて家で休んでいました。💦
ちょっとずつよくはなっているものの自分の思った以上のダメージを体に負っているようです。無理せずのんびり過ごしたいところですが…。
さて、現在南ドイツのフリーダー・ブルダ美術館で開催されている『王は死んだ、女王万歳(DER KÖNIG IST TOT, LANG LEBE DIE KÖNIGIN)』という展覧会はみなさんご存知でしょうか?
こちらはペギー・グッゲンハイムによる1943年の展覧会『31人の女性による展覧会(Exhibition by 31 Women)』へのオマージュとして開催されているんですね。
いまからちょうど80年前の1943年、ペギー・グッゲンハイムはNYの自らのギャラリーで『31人の女性による展覧会(Exhibition by 31 Women)』と題した展覧会を開催しました。
当時、芸術家たちの「ミューズ」とされることはあっても、男性と同じ舞台に立つことは許されなかった女性アーティストに焦点を当てた展覧会です。
世界16か国の女性アーティスト31名の作品を集めたこの展覧会は、当時アート史上初の試みでした。写真が入ったカタログが残されていないために、詳細は完全には把握されていませんが、メキシコ出身の画家フリーダ・カーロやアルゼンチン人の画家、レオノール・フィニ、スイスのシュールレアリズムのアーティスト、メレット・オッペンハイムなどの作品があったとされています。しかし大半の作家は展覧会後も無名のまま、消えていきました。
この展覧会は当時、賛否両論さまざまな批評が集まりましたが、あまり好意的には捉えれなかったようです。とどめは『TIME』誌の美術評論家ジェームズ・シュテルンの発言でした。彼は『一流の女性アーティストなどいたことがない』と頭ごなしに否定したんですね。…信じられない。💢
以前からブログでも書いているように残念ながらアート界はいまだに根深い男女格差があります。それは教育の差ではなく差別と言えるでしょう。
現に美術教育の面から見てもドイツの大学の芸術・芸術学科目における女性の割合は65.2%。日本では7割越え、ロンドンやNYの有名校でも6割強と、世界的に同様の数値が見られます。
しかし、賃金格差においては、アート業界に携わる女性の平均年収は男性のそれに比べて3割近く少ないんです!!!
そして、アート界においては致命的とも言えるその展示格差。個展開催の割合は男性の方が22%多いとも言われています。
これはやっぱり見てもらってナンボのアート界においては致命的な差別ですよね。
今回の展示のキュレーターはこう述べています。
『1943年の展覧会の企画にはマルセル・デュシャンも関わっていました。彼がペギーに提案したとも言われています。デュシャンは小さい頃からチェスが大好きで、プロ級のプレーヤーだったと言われています。チェスの駒の数は白黒それぞれ16個で、合計32個。1つが欠けた31という数にはとても意味があると思う』『そしてチェスでは、キングが最も弱い存在です。最強はクイーン。デュシャンは31という数字からその事実を示唆しているのではないかと考え、展覧会のタイトルを決めました』と。
男性として権威ある地位に立つ自分の有り様に対する批判──。そういう意味で、この展覧会は非常に個人的なものだとキュレーターは言っています。
非常に興味をそそられる展示ですね。
ま、いずれ性がどうだとか語られなくなっていくとは思いますが、現実的にはまだまだのようです。きっと未来は性というしがらみがなくなってもっと自由になっていく事でしょう。
お近くへ行かれる方はぜひ。10月8日(日)まで。
https://www.museum-frieder-burda.de
それではみなさん本日も良い1日を。