こんにちはS&Tの上村です。皆さん3連休はいかがでしたか?私は結局チョイチョイ仕事してました。😅

私は車の運転もまだ危険なので家で仕事していますが、それでも皆さんやってきます。それだけアートを欲しているんでしょうね。昨日も『ちょっとだけですぐ帰ります』と言ってやってきましたが、およそ1時間半たっぷりとアートを堪能し、色々お話ししました。やっぱりジャンキーです。(笑)

さて、ちょっと気になったのが中国軍が1日、二つに破れた巻物が台湾海峡を越えて再会を果たすまでを描いたアニメーションを公開したという話題。

アニメーションは中華人民共和国の建国記念日にあたる国慶節に合わせて中国人民解放軍(PLA)東部戦区が公開したもので、国外に眠る中国の歴史遺産をめぐる国家主義的な感情に乗じた最新のショートムービーです。

アニメーションでは、台湾の妖精が「12年前に自分を訪ねてきた」杭州の妖精に会いに行こうと決心します。台湾の妖精が追憶するこの出来事は、2011年に台中共同企画の展覧会で中国が台湾に巻物の半分を貸与し、一つの作品として展示したことにちなんでいます。

台北から杭州へ向かう途中、妖精は中国軍の軍用機や軍艦とすれ違い、その威力に圧倒されて「カッコいい!」と歓声を上げています。

そして台湾の妖精は浙江省博物館で片割れと再開を果たします。2匹の妖精は杭州で開催のアジア大会へ足を運び、ちょうど開会式で台湾チームが「中華台北」と紹介されるのを目にします。

皆さんご存知の通り、中国は長年にわたり、国際社会で台湾をのけ者にしてきました。結果として台湾は、世界保健機関(WHO)などの国際組織に加盟できずにいます。加盟が認められたとしても、名称は「中華台北」。オリンピックをはじめとする各種スポーツ大会でも同様で、大勢の台湾人から反感を買っています。

アニメーションは、2匹の妖精が一つの絵巻物として合体して幕を閉じます。

近年、中国政府は台湾に軍事的圧力を強め、中国の習近平国家主席も「台湾統一」は「必ず達成しなければならない」と宣言しているのは皆さんもご存知の通り。

好戦的な色合いを増す習氏の発言や、台湾周辺での中国軍の演習の急増、中国と同じように長年ウクライナに脅しをかけていたロシアが侵攻に踏み切ったことなどが相まって、いつか中国も台湾で同じことをするのではないかとの恐れが現実味を帯びていますよね。

そんな中でのこのアニメーションの公開。

う〜ん。なんだか空恐ろしいですね。😱

それで思い出したのがトーマス・ルフの『TABLEAUX CHINOIS』というシリーズ。

このシリーズは1950年から1970年における中国のプロパガンダ画像をデジタル加工したシリーズです。

tableau chinois_12 I, 2020 / Thomas Ruff
C-print
239 × 185 × 7 cm
Frame included
Editions edition of 4 + 1AP

中国共産党は、このイメージ群を世界各国の言語で配布される雑誌『La Chine』に掲載しました。ルフは、この雑誌から陽気な兵士、風景、儀式行事や、中国共産党主席の毛沢東を描いたイメージをスキャンし、拡大させることによって、オフセット印刷の網点をあらわにし、さらにその画像を複製し、ピクセル化しています。そのイメージをオリジナルのスキャンと重ね、様々な箇所を削除し、最終イメージには、アナログのハーフトーンとデジタルのピクセルの両方が含まれています。このシリーズは、オリジナルにあるアナログのオフセット印刷のグリッドをデジタルのピクセル構造と結びつけています。これにより、ルフは20世紀のプロパガンダのイメージを21世紀の視覚言語へと変容させています。

せっかくなので20日からの『本とアート』展でもルフのこのシリーズの画集とオリジナルはデカすぎるのでエディション版をご覧いただければと思います。

これを読んでから作品を見るとまた一層面白くなるかもしれませんね。

楽しみになってきましたか?

それでは皆さん本日も良い1日を。