こんにちは。S&Tの上村です。昨日は朝からたくさんのお客様にあるほなつき個展『CLOSELY』楽しんで頂きました。平日にも関わらずありがとうございました。

顔馴染みのお客様もいらっしゃったので話題は野見山 暁治さんの訃報の話題に。

前回の3人展にいらっしゃった方はすぐにお分かりかと思いますが、石川くんの作品のモデルにもなった102歳の油絵画家の野見山さんがお亡くなりになりました。心不全だったそうです。

101歳の展覧会の時の野見山さん

3人展の時に皆さんに『モデルは102歳の現役の油絵画家なんですよ。』なんてお話をしていたのはつい先日のことです。

石川君の尊敬する画家で彼はいつも熱く野見山さんの話を語っていたのを思い出します。

野見山 暁治さんは福岡県の穂波村現在の飯塚市出身で、昭和18年に東京美術学校、現在の東京芸術大学を卒業し、独自の手法で人間の抱える孤独と不安を鋭く表現した絵画作品で注目を集めました。

31歳の時から12年にわたってフランスで絵画を学び、帰国後は風景を題材に具象絵画の分野で独自の領域を開拓しました。

その後は、人間や自然の本質を自在な形と色彩で描く軽やかで深みのある抽象画を中心に制作し、美術界で大きな存在感を示してきました。

志半ばに戦争で命を落とした東京美術学校出身の画学生の遺族のもとを回り、77年「祈りの画集」(共著)を刊行。これが後に、長野県上田市の信濃デッサン館(現・残照館)館主だった窪島誠一郎さんと共に、同市に戦没画学生慰霊美術館「無言館」を開館(97年)することにつながりました。同館の活動で05年、菊池寛賞を受賞しました。

名エッセイストとしても知られ、78年「四百字のデッサン」で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞しました。他の著書に「パリ・キュリイ病院」「アトリエ日記」など多数あります。晩年まで油彩の大作のほか、東京メトロ明治神宮前駅やJR博多駅など公共空間に設置するステンドグラスの制作を手掛け、100歳を超えてなお精力的に創作活動を続けました。

石川君の愛読書はもちろん「アトリエ日記」。彼はこの話をするといつもイキイキと語っています。(笑)

そんな野見山さんの話を3人展中に石川君とたくさん話していたのを思い出しました。公開されていないエピソードで石川君が野見山さんのごく近い方から聞いた話が私はとても印象深かった。

野見山さんは他の人から見たら何も気がつかないような作品の中の線を1ミリ動かそうかどうかを何時間も考えて制作していたそうです。そのエピソードは野見山さんの絵画に対しての姿勢が窺い知れますよね。

素晴らしい画家でした。

というわけでS&Tではしばらく野見山さんの追悼ということで石川君の描いた野見山さんの作品を展示します。その絵を見ながら色々野見山さんの話でもしにS&Tへいらっしゃって下さいね。

雨宿りしていよう / 石川琢弥
パネルに綿布、油彩
910×727 mm

【石川琢弥(いしかわたくや)】

1983 福岡県生まれ

2005 東北芸術工科大学 洋画入学

2005 デッサン/ドローイングコンール グランプリ

2006 初個展「sopo」

2009 東北芸術工科大学卒業制作 優秀賞

2010 個展「a refrigerator」

2020 個展「FORM」

2022 個展「PAINTING RESISTANCE」

本年は英国のCharlie Harper (UK SUBS)の肖像画や、故Jordan Mooneyの追悼展の遺影を油彩画で描くなど、より著名な人物との油彩表現にも活動の幅を広げている。

『「居る」こと、「在る」ことを僕なりに可視化したい。』〜石川 琢弥

野見山 暁治さんのご冥福をお祈りします。

それでは皆さん本日も良い1日を。