こんにちは。S&Tの上村です。昨日、湯浅克俊さんの最新作が到着しました。額装まで全てご本人にお任せしたのですが非常に素晴らしい作品でしばし鑑賞させて頂きました。

やはりタイミングなんでしょうね。その直後にいらっしゃった新人コレクターさんがため息をつきながらご予約していかれました。(笑)

その方は湯浅作品からコレクターの道に入ったんですよ。不思議なものをいつもながら感じます。ご縁ですね。

しかし、ご安心下さい。まだご覧いただけますのでぜひご覧になりにいらっしゃって下さいね。(⌒▽⌒)

さて、新人コレクターさんと話をしていてちょっと書いておこうと思ったことがあるので忘れないうちにチラッと書いておきます。

よく海外の作品を購入される時に今はネットの時代ですからもちろんネットなどで調べることができます。そして、例えば1000ドルの作品が売っていたとしますが、その価格で入手できるとお考えの方が意外に多くいらっしゃいます。

しかし、そこには大きな落とし穴が。

皆さん忘れているのが、そこに付随する費用が発生することを忘れてはいけません。例えば、輸送費や消費税といったものもそうです。それ以外にも諸々色々かかるんですよ。😅

だから作品は1000ドルでも日本では2000ドルくらいで売られているなんてことはよくあります。場合によってはもっと。『海外で1000ドルで売ってたのに高くない?』と言う方いらっしゃいますがあながちボッタクリとは言えないんです。💦

そうは言いながらもS&Tではそういう負担をできるだけ軽くできるように頑張っています。

少しでも安く購入しようとして結局高くついたなんてこともよくある話なんです。その辺のことも知っておくと良いですよ。

ま、結局はプロに任せてもらったほうがお得なんですけどね。(笑)

基本的なことですが、意外と忘れがちなちょっと知っておくとお得な豆知識でした。

と言うわけで本日の1品です。湯浅作品の最新作です。

Nature Communications #1, #2 2022 / 湯浅 克俊
oil based woodcut
each size(sheet) 62cm x 88cm
Edition 5

これ実は繋がっている風景なんですが分けてあることでより奥行きが広がっているように感じました。非常に素晴らしい作品です。

いつもながら画像では分かりづらいのが残念です。ぜひS&Tへ足を運んで下さいね。

最後に特別にこの作品の説明を掲載しておきますね。

⻑野県北部にある戶隠の鏡池には何度か訪れている。季節、時間、天候によってその表情は変わるが常に 神秘的な雰囲気を持っている。この辺りにはダイダイラボッチ(日本各地に伝承される巨人)の伝説が残 っていて、この鏡池も巨人の足跡によって出来たものだという。私は 2012 年に一度、この風景を作品に している。その時は確か冬に撮影したものを作品にしていて、葉は落ち、枝の形がよく見えた。今回、10 年ぶりに鏡池を作品にした。使用した写真は夏に撮影したもので、葉は繁り、うっすら霧もかかってい る。こちらの方がより神秘的に見える。 現在、世界は急激に不穏な空気に包まれ、暗い未来に向けて一直線に進んでいるように感じる。なぜ今、 破壊と殺戮が必要なのか。人間は何も進化していない。進化できないのか。ダイダラボッチの足跡によっ て池ができたり、土を盛ったことによって山ができたが、決して村や畑を破壊したわけでない。むしろ人 間を助けている。私は以前から神話に興味があり、日本のものから世界各地のものまで調べたことがあ った。そんなに詳しいわけではないが、神話は各国それぞれの文化や⺠族性(アイデンティティ)に根付 いていて、その国、地域の人たちの考え方を知る上でとても役立つ。ロシアにもスラヴ神話というものが 存在するが、スラヴ⺠族は文字を持たなかったため、伝えられた神話を⺠族自身で記録した資料は存在 しない。 世界各地に存在する神話には神々による争いが数多く登場するが、戦争は決して神話にはならない。戦 争は人間同士の争いでしかない。そこに神は存在しない。神話は自然を畏れ、敬う気持ちから生まれてい る。改めて私たちは神話を見返す時ではないだろうか。私たちの祖先はどのような話を生み出したのか、 その土地にはどのような伝説があるのか。神話に描かれる争いは現在の私たちに対する警鐘である。 近所の梅が咲き、春の訪れを感じた。季節は巡る。テレビでは停戦交渉がうまくいっていないとの報道。 私にできることは作品を作ることしかない。作ることが唯一できる反抗である。
ー湯浅克俊