こんにちは。S&Tの上村です。昨日は少しのんびり仕事できるかなと思っていたら何故かいつもより忙しく気がついたら寝てました。電話も次々と鳴り、いや〜、本当に疲れました。そんな日もあるんですね。（笑）
さて、いよいよ4月6日（火）から吉田スクールが始まりますね。アートショップでもお馴染みの福崎翼さんや石塚由美子さんも出品されます。昨年はコロナの影響で中止になり、残念ながらアートショップとのコラボも実現できませんでした。だから今回の開催は私も非常に嬉しく、楽しみにしています。
そして、もちろん勝手にコラボしていますがアートショップはその翌週に3日間開催します。テーマは『青』。もちろん福崎翼さんや石塚由美子さんも参加予定です。
現在急ピッチでアーティストの皆さんも私も準備を進めておりますが、昨日、急遽特別ゲストに湯浅 克俊さんの出品が決まりました。＼(^o^)／
早速ご本人から今回の出品作の説明が届いておりますのでご紹介したいと思います。
＜Statement＞
新作の木版画作品”Wallpaper”と”Figure and Ground”は、ミニマルアートの代表的芸術家であるドナルド・ジャッドの作品に着想を得て制作しました。ジャッドは鉄や木の板を使った直方体の彫刻作品で有名ですが、家具も多く制作しています。一見すると彫刻のように見える椅子や机は使用できるものの、機能的とは言えません。また、ジャッドの箱型の作品をみているうちに考えたのは内と外の関係です。彫刻作品においてどこからが内側で、どこからが外側なのか。”Figure and Ground”は訳すと「図と地」です。図とは背景から分離して知覚される部分（形）であり、地とは背景となるもののことです。木版画においてはイメージが図、余白が地と言えるでしょう。しかし、今回の私が制作した作品では真ん中に余白と言うべき空白があり、その空白を取り囲むようにホームセンターで購入した木片が高級な古梅園の様々な墨で丁寧に摺ってあります。この作品における図と地とはなんなのか。空白が図で、木片のイメージが地にも見えます。イメージが空白をフレーミングし、空白が浮かび上がってくるような作品を試みました。
”Wallpaper”も同じく、意味を反転させる試みから制作した作品です。こちらもホームセンターで売っている有孔ボードを版として使用しましたが、これはジャッドの家具がホームセンターで手に入る木材で作られていたことにヒントを得ました。「彫る」ことに価値を見出しがちな木版画に対して、既にカットされている木材を使うことで、版画の本質である「うつすこと」に着目した作品です。イメージをうつす。木を紙にうつす。目にうつす。様々なうつす行為が版画では行われます。”Wallpaper”とは壁紙という意味です。２月に行った展覧会ではこの作品と共にジャッドの家具を模した棚のような作品を展示しました。この棚は単なる展示台のように見えます。ここでも関係性の反転が起こっているのです。展示台のように見えるものが作品であり、壁に貼られた木版画が壁紙、つまり作品を引き立てるための背景となっているのです。背景のための作品と言っても既製品の木材を摺って木版画にすることは容易ではありません。いつも以上に慎重に、そして高度な技術が問われるものでした。
私の作品にとって「彫らないこと」は「彫ること」と同じくらい大切です。私が写真をベースにした木版画だけでなく、時々抽象的なイメージや実験的なインスタレーションを制作するのは、大事なことは上手に写真のように彫ることではないと言うことを示しています。作品それぞれにコンセプトがあり、そのコンセプトにより手法が異なることが自然な成り行きです。上記のような作品があるからこそ写実的な作品が際立って見えます。しかし、「図と地」の関係のようにどちらが優位ということではありません。両者があってこそ私の作品は成立するのです。”Figure and Ground” ”とWallpaper”を楽しんで見て頂けたら幸いです。
ー湯浅克俊
【湯浅克俊】
1978年東京都出身。
武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。
英国ロイヤルカレッジオブアートにて修士課程を修了後、写真とデジタル技術を融合した木版画による作品を多く発表し、イギリス、ドイツをはじめ世界各国で個展を開催。
Northern Print Award 受賞をはじめ、多くの国際的な展覧会に出展。
昨年はアメリカの St. Lawrence University大学の持つ美術館Richard F. Brush Art Gallery St. Lawrence Universityに収蔵されたりと精力的に活躍されています。
そんな湯浅さんの木版画の繊細さはやはり実物を見ないとわかりません。ぜひ見に来て下さいね。＼(^o^)／
＜アートショップイベントページ＞
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