こんにちは。S&Tの上村です。レオナルド・ダビンチの名画「サルバトール・ムンディ」(世界の救世主)が2017年11月のオークション以来、行方が分からなくなっているんだそうです。
以前ブログでも書いたと思いますが、この絵については以前から色々憶測が飛んでいていわくつきの絵画です。
簡単に説明すると以下のような感じです。
長年の間、この作品は複製か、ダビンチの助手が制作したと思われていました。しかし2005年に美術商が約1万ドルで購入して修復を済ませ、ダビンチの作品だったと宣言したんです。
ロンドン国立美術館は2011年、6年がかりの調査を経て、ダビンチ美術展でこれを展示しました。オークションを主催したクリスティーズは、ダビンチの作品だとする見方で専門家が一致したと説明していました。
ところがこれに対して数人の美術史家がこの説に疑問を投げかけます。ダビンチと助手の合作で制作された作品は珍しくありません。ダビンチは一切関与していないと主張する専門家はほとんどいないものの、少なくとも一部はダビンチの工房が手がけた作品だったと見る専門家もいるんだそうです。
クリスティーズの広報は、「この絵画を巡ってさまざまな意見があることは承知しているが、2017年のクリスティーズのオークション以来、われわれの立場を再考させるような新しい意見や臆測は存在しない」とコメントしています。
そして今回の行方不明騒動となります。この絵を展示すると発表していたアラブ首長国連邦(UAE)のルーブル・アブダビは昨年、何の説明もないまま、一般公開を延期すると発表しています。
この作品の行方については様々な憶測が飛び交っているもののこれまで最も有力な説だったのがスイス・ジュネーブの倉庫で保管されているという説でした。ここにきてもう一つ有力な説が浮上しました。それがサウジアラビアのムハンマド皇太子が所有する豪華ヨットの中にあるという説です。
この作品はムハンマド皇太子のために、サウジのバドル・ビン・アブドラ・ビン・ムハンマド・ビン・ファルハン・アルサウド王子が落札したと言われていて、結構信憑性が高いようです。
この作品がもし工房や助手の作品だったと認定されれば、この絵画の価値は大きく損なわれ、オークション関係者の信頼にも傷がつきます。現在の持ち主が作品を隠し続けているのは、これ以上詳しく調べられないようにするためかもしれないという臆測もあるほどです。
もし一般展示されればたくさんの人がやってきて、これがダビンチの作品かどうかを論議し、作品が本物かどうかが論じられるだろうことは容易に想像できます。
また、現在では誰の作品なのかは専門家の間でも意見が分かれていて、4億5000万ドルで売るのは非常に難しいと言われています。
その辺りが行方不明の真相なのではないのでしょうか?