こんにちは、S&Tの上村です。皆さんこのトイレ覚えていますか?

アメリカ / マウリツィオ・カテラン

『アメリカ』と題されたマウリツィオ・カテランの作品ですね。

この作品は2016年、ニューヨーク市のグッゲンハイム美術館で最初に展示されました。翌年には当時のトランプ政権がグッゲンハイム美術館にファン・ゴッホの1888年の絵画『雪のある風景』の貸し出しを依頼したところ、美術館の学芸員はこのトイレを貸し出すと提案し、再びニュースの見出しを飾ったのを覚えていらっしゃる方も多いんじゃないでしょうか?

また、完全に機能するトイレとして話題を集めたのも皆さんを驚かせた作品です。その価値およそ600万ドル(現在のレートで約9億1000万円)!!!

その後、2019年に『勝利は選択肢ではない』と題された美術展の一環でブレナム宮殿のチャーチルの生まれた部屋の隣に設置されました。しかし、美術展の開始からわずか数日後に盗まれました。当時、そりゃそうだよな。無謀すぎるよね。と思ったのを思い出します。

トイレの窃盗に関連して昨年3人の男が訴追されていましたが、いずれも無罪を主張していました。しかし、4月2日についにその中の一人が強盗や盗品の換金および譲渡、共謀の罪を認めたんだそうです。

犯行から5年もの歳月が経っているんですね。変な話こういう犯罪は本当に割に合わないですよね。真っ当に生きれば良いのに。😓

この作品は米国における社会的、政治的、経済的な格差を批評した作品とみなしうると当時の美術展での声明が出されています。

また、カテラン氏は以前にニューヨーカー誌でこの作品に触れ、『食べるものが200ドルのランチであっても2ドルのホットドッグであっても、トイレという意味では結果は同じだ』とコメント。作品については『99%の人のための1%の芸術品』と評していました。

何とも事件も含めて色々考えさせられることになったのは予想済みの出来事だったんでしょうかね。公判は来年2月だそうです。

この作品の盗難の裁判はまだまだ続きそうです。😅

というわけで本日の1品です。

https://youtu.be/wKEAv5T8_pE?si=d_ZfsCwDkr3fukmy

クリスチャン・ボルタンスキーは1944年フランス生まれのアーティストです。1968年に短編映画を発表し、1972年にはドイツのカッセルで開かれた国際現代美術展のドクメンタに参加して以降、集団や個人の記憶、存在と不在を作品の主なテーマとして世界各地で作品を発表ました。80年代には、光を用いたインスタレーションで宗教的なテーマに取り組み、国際的な評価を獲得。その後も歴史や記憶、人間の存在の痕跡をテーマに据え、世界各地で作品を発表しました。残念ながら2021年の7月に亡くなっちゃいましたね。

日本でも2019年に回顧展が開催されましたが、見たかたも多いんじゃないでしょうか?

主な作品収蔵先に、ニューヨーク近代美術館、テートギャラリー、ポンピドゥー・センターなどがあります。

前述のカテランの作品の盗難が2019年なんだと思っていたら、何だかボルタンスキーを思い出しちゃいました。なんの関係もないんですが。(笑)

日本でも馴染みがあるので日本の美術館でも結構みることができる彼の作品は実はS&Tにもあるんですよね。あまり出した記憶がないのでもしかしたら見たことがある人は少ないかもしれません。

見たい方は予約の際に遠慮なくお申し付けくださいね。

作品そのものだけではなく色々な出来事も含めやっぱり芸術は面白い。

それでは皆さん本日も良い1日を。