こんにちは。S&Tの上村です。アート作品の中には何らかの理由で未完になっている作品が沢山あります。中には未完のまま評価されている作品もたくさんありますよね。この未完の作品には『何で途中でやめちゃったんだろう?』なんて想像を掻き立てる不思議な魅力があるのも事実です。

例えば皆さんご存知のクリムト。下の絵を見て下さい。

この絵は婚約を破棄されて自殺してしまった女性のポートレイトを家族から頼まれて描いたものだそうです。しかし、クリムトは上手く描けず最初の2枚は家族に却下されたそうです。そして、この3枚目の絵を描いているときにクリムト自身が亡くなってしまったといういわくつき!

S&Tでも時々ご紹介しているロバート・ロンゴにもそんな作品があります。

2001年9月11日、アメリカ同時多発テロが起きて数日後のこと。ロンゴが子供部屋に行くと当時6歳の末息子のジョセフが積み木で作った高層ビルの前に立っていたそうです。ロンゴが見ているとジョセフは鋳物の飛行機で、ビルを丹念に破壊し始めたんだそうです。その飛行機の模型はテロで使われたボーイング767-223ERとまさに同型だったということ!

驚きですよね。!(◎_◎;)

現在65歳になるロンゴはこう語っています。

『ジョセフは、積み木でできたビルに飛行機をガンガンぶつけていた。何度も何度もね。そのイメージが頭から離れなくて。』と。

それから間もなく、ロンゴはこの記憶をもとにした立体作品に取りかかり、今もなお完成に向けて創作を続けています。

ロンゴの未完の作品《The First Plane(最初の飛行機)》

17年もの間制作し続けてきたこの作品ですが、様々な問題もあり未だ未完のままです。しかし、ロンゴにとってはそんな問題は大したことではないらしいです。なぜなら彼の脳裏には、あの日の息子の姿と最初に突っ込んだ飛行機のイメージが今もくっきりと焼きついているからです。

彼はこの作品についてこう言っています。

『最終的に、完成までどのくらい時間がかかるかは私にもまったくわからない。でも続けていくしかないのさ。途中で投げ出すわけにはいかない。』と。

カッコいい!!!

『精魂を込めずして、真の芸術は生まれない。』ということでしょうか。

ピカソやウォーホルなどたくさんの作家にも未完の作品があります。そんな作品にスポットを当てて色々調べてみても面白いですよ。