こんにちは。S&Tの上村です。一つ終わるとまた一つという感じの今日この頃ですが、明日よりいよいよ平野千明展『Modern allgorism(現代の寓話)』 が始まります。それに先行して平野さんより皆さんへメッセージが。
*鑑賞者の皆様へ
今回の作品群は本個展に向け丸3ヶ月を費やし制作をしてきたオール新作と
なります。
【今回の新作について】
ご存知の通り、紙の作品のウィークポイントは保存性です。額装に入れず
に紙の作品を保管することは非常に難しく資産価値の観点からみても10年
後も色落ちやシワが出来ないことは重要な点になります。まず、今回の作
品ですが使用し ている紙は中性紙です。保存性としては最も優れた紙とな
りますので何もせずに置いておけば100年後も今の状態のままで残ります。
次に紙同士の接着方 法ですが、特殊なスプレーのりで完全に接着されてい
ます。この接着方法に辿り着くまでに途方もない数の接着剤を用意しうん
ざりするほどの試行錯誤を重ねました。
又、完全に接着された紙を特殊な樹脂でコーティングし完全に固めてあり
ます。ここでポイントなのですがこの樹脂加工は紙の強度を上げる代わり
に 紙がパキパキになることで弛み(たゆみ)が生じます。今回の作品ではこ
の弛みをどこまで許容するかが最大の懸案事項でした。
弛みを一切なくすために厚手の紙で作品をつくったのですが確かに見栄え
は良いのですが味がなく面白みが ありませんでした。
今回の作品テーマである人物のアレゴリー化というコンセ プトに立ち返っ
た時に偉人達はマスメディアを通じ価値を様々な形で切り出されてきまし
た。言うならばそれは自分でコントロールできない事象です。
そうい ったアンコントロールの部分を、薄手の紙に樹脂を流すことで生じ
る弛みに投 影しました。
いずれにせよ今回の作品達は生まれたばかりの原石です。今回の展示の作
品の中ではマリリンを最初に作ったのですが、決して完成度が高いとは言
えません。
しかし、山口歴のOUTOFBOUNDS も今では数百万の価値がつきますが最
も価値ある作品は最初に完成された非常に出来の悪い作品群です。
今回の個展では僕が新たに生み出した新しい可能性を買って頂きたいと思
います。 〜平野 千明
スケジュールや時間は多少変更となる場合がありますので、お出かけの際はY&ギャラリーのHPもしくは私へ遠慮なくご連絡下さいね。
もちろんプラッとお越しになって大丈夫ですよ。
平野千明展『Modern allgorism(現代の寓話)』いよいよ明日開催です!