こんにちは。S&Tの上村です。先日、ミリアム・カーンの個展で展示中の新作絵画が小児性愛を助長しているとして、作品撤去を求める裁判がパリのパレ・ド・トーキョーに対して起こされ、即日で展示継続の判決が下されたのは皆さんご存知ですか?

対象となった作品はカーンの新作『fuck abstraction!』

彼女は創作の理由について、「ウクライナでの女性や子どもへのレイプの報道や、ブチャの集団墓地の画像を見て衝撃を受け、手を縛られレイプされた後に殺されて路上に投げ出された人物を描こうと思いました。戦争で繰り返される暴力を描くことは、ショックを与えるためではなく、糾弾するためです」と述べています。

しかし、フランス保守派の政治家たちは、カーンとパレ・ド・トーキョーは子どもの搾取を助長していると主張。なんとも馬鹿げた主張です。💦

ソーシャルメディアでも盛り上がりをみせ、騒動は拡大しフランス文化相のリマ・アブドゥル・マラクまでもが、SNSで表現の自由を擁護する発言をするに至りました。文化相は所詮政治家ですね。

子どもの権利を保護する6つの団体が展覧会から『fuck abstraction!』を撤去するよう訴えを起こしましたが、その24時間後には、裁判所はパレ・ド・トーキョーとカーン側を擁護する判決を下しました。

あっぱれです。日本だったらどうなっていたのか。😅

この判決を受けてのパレ・ド・トーキョーの声明が見事でした。以下はその声明の一部です。

『美術館や作家側への確認もせずに、この絵画についての誤った認識が数千人のインターネットユーザーに拡散されました。芸術作品という表現、そして人権尊重における世界中の美術館の基本的な役割に対する侮蔑を遺憾に思います』

全くその通りですね。素晴らしい対応です。今すぐにでもその展示を見たくなっちゃいました。

最近、世界中で『いまだに?』と首を傾げちゃうようなそんな問題がまた起こっていますが、アートに対しての認識はそれほど進歩していないということなんですかね?

そうじゃないと思いたいですね。

ちょっと気になる話題でした。

それでは本日の1品ですが、これが発表された時は世界は想像以上に震撼したんでしょうね。

世界の起源 (The Origin of the World) / ギュスターヴ・クールベ
1866年

もう説明などいらないと思いますが簡単に。

ギュスターヴ・クールベ(1819年6月10日-1877年12月31日)は、フランスの画家。19世紀フランス絵画において、写実主義(レアリスム)運動を率いたことで知られています。

クールベは自分が実際に現実で見たものだけを描き、宗教的な伝統的な主題や前世代のロマン主義的幻想絵画を否定しました。クールベの伝統的芸術からの自立は、のちの近代美術家、特に印象派やキュビズムへ大きな影響を与えました。

1871年、パリ・コミューンに参加。ヴァンドーム広場の記念柱を倒壊した罪によって逮捕され、1873年にスイスへ亡命。母国に戻ることなく1877年に亡くなりました。

クールベは生前、「私は天使を見たことがないから描かない」という言葉を残しています。なんともクールベらしい発言ですね。

本日は湯浅克俊展もオープンしております。そんな話もしにぜひいらっしゃって下さいね。

それでは皆さん本日も良い1日を。