おはようございます。S&Tの上村です。
みなさんゲルハルト・シュタイデルはご存知ですか?
世界で最も美しい本を作る男と言われている彼は、ご覧になった事もある方も
いらっしゃると思いますが、映画にもなっているんですよ。
彼は若い頃、著名なフォトグラファーになるのが夢だったそうです。
自分で写真を撮っては、アンリ=カルティエ・ブレッソンやウォーカー・エヴァンス
といったアーティストの作品と比較していたという事でした。
そして彼は、自分は彼らのような写真家にはなれないと気付きます。
だったら、自分で撮る代わりに、こうしたすばらしいアーティストたちのアイデアを
本という形で具現化する役割に回った方が、自分の人生はよっぽど幸せだと
思い至ったそうです。
そして、彼は約50年以上もの間その為だけのために人生を費やします。
凄いですよね。
カッコいい!!!
ヨーゼフ・ボイスのアシスタント時代には、
「よく見るんだ。ストリートやゴミ箱から誰も考えつかないような美しい素材を見つけるんだ」
というボイスの言葉に従って、亜鉛板や段ボール、フェルトなど、型破りなメディアに
ボイスのイメージをプリントし続けたと言います。
そして、ボイスの死(1986年)から数年後、シュタイデルは自らの比類なき
プリンティング技術を写真家たちにプレゼンし、シュタイデル社を築いていきます。
また、彼には『製紙とバインディング以外はすべてひとつ屋根の下で行う』という
ポリシーがあります。
それゆえに、あれだけ美しい本を作ることができるのです。
だからこそ、ロバート・フランク、ウィリアム・エグルストン、アンドレアス・グルスキー
、マーティン・パー、エド・ルシャ、ナン・ゴールディンといった後世に名を残す
偉大なる写真家たちがこぞってシュタイデル社から出版するのです。
ときに怒鳴りあうほどのアーティストらとの対話を通じて、シュタイデルはほかの出版社では
到底実現しえない、それ自体がアートの一形態となりえる作品集を多数生み出してきました。
それはまさに私がやりたいことの一つです。
シュタイデルと仕事をすることを夢見る数多くのアーティストたちが、
ドイツの片田舎ゲッティンゲンにある「シュタイデル・ヴィレッジ」に
列をなしていると言います。
興奮してきますね。♪(v^_^)v
彼は今“世界中でシュタイデル・ブックアワードを設立する”という夢に向かって
世界中を飛び回っています。
本当に憧れます。
シュタイデルはこう言っています。
『ページをめくる音や香り全てが本の要素なんだ。』
この言葉に彼の哲学が詰まっているように思います。
シュタイデルについてはまだまだお話がつきませんが、今日はここまで。
それでは皆さま今日も良い1日を。