こんにちは。S&Tの上村です。シリコンバレー出身の写真家アネット・ルメイ・バークの写真集『Fauxliage』がちょっと面白かったです。

この写真集は彼女が2000年代初め、樹木のように装飾された携帯基地局のアンテナを目にしたそうです。そのユーモラスな姿に興味をそそられ、各地の「擬態」アンテナの撮影を始めました。それをまとめたのが今回の写真集。

『空港へ続く道』カリフォルニア州パームスプリングス(2019年)

景観を損なわず、周囲の環境になじませるための「擬態」であろうことは明らかです。しかし彼女は次第に、テクノロジーがひそかに環境を変えているような違和感を覚えたといいます。

確かに違和感ありありですよね。(笑)

『3本のサボテン』アリゾナ州フェニックス(2016年)
『十字架』アリゾナ州メサ(2016年)

「擬態」したアンテナを通じて、携帯端末からさまざまな個人情報が収集され、21世紀の巨大なハイテク産業が維持されていることもまた、皮肉な事実ですね。

すでに第5世代(5G)への移行が始まっている現在。携帯基地局のアンテナも、これまでより高性能になり、小型化が進むでしょう。

これらの「擬態」アンテナも公衆電話ボックスのように過去の遺物として消えゆく運命にあるのかもしれませんね。

これらの写真もアンテナ自体も現代らしいアート作品と言えるかもしれませんね。

というわけで本日の1品です。

Fugitive Breath Drawing, 2018 / Julie Mehretu
Ink and acrylic on paper
Paper size: 66.4 x 101.6 cm

Julie Mehretu(ジュリー・メレツ)はエチオピア生まれのアメリカ人アーティストです。彼女は中東の文化や、過去と現在に敬意を表した建築的な絵画で知られています。これまでもアラブ人の偉大な文化的業績に対する誇りを表現してきました。彼女は伝えられないことを抽象化によって伝えるというアプローチを用いて、近年続発している残虐な事件に対する胸が張り裂けるような思いを描き出しています。

ここのところ彼女の作品は非常に高騰しています。興味あるなら今のうちに一点持っておいた方が良いかもしれませんね。

かなり高額ですが。😅