おはようございます。S&Tの上村です。
昨日から東京都美術館でムンク展が始まりましたね。
ムンクと言えば『叫び』ですが、この絵が頭を抱えて叫んでいる様子というのは間違いで、
実は叫んではいないんです。
じゃ、なんなのか?
自然が発する叫びが聞こえて、耳をふさいでいる姿なんだそうですよ。
知っていました?
『叫び』には5つのヴァージョンがあって、2度の盗難にあっていることも有名ですね。
今回の企画展は約100点に及ぶ大回顧展だそうです。
私、ムンクというとどうしても2015年のムンク美術館で開催された、
「メルガード+ムンク」展を思い出します。
メルガードは、黒人女性が「椅子」となった作品「チェア」をはじめとして、
「差別的だ」と批判されがちな作品も多いのです。
特に、幼児・小児に性的興味を持たせるようなヴィジュアルを使用することもあることから、
メルガードが評価される際には「ぺドフィリア」という言葉がくっついてまわることもありま
す。
『芸術家はどこまで倫理的・道徳的な一般常識を踏み外すことが許されるのか』
と物議を醸しやすい人物でもあります。
だから、日本ではほとんど馴染みのない作家です。(これが日本の現状です。)
この企画展、展示初日に地元の最大手アフテンポステン紙などには次のような見出しが
載りました。「子連れにはおすすめできない」と。
この日から国中を巻き込む議論が繰り広げられました。
先ほども言いましたが、メルガードの作品には、裸体、性行為や性器を強調させるイメージ、
そして解釈によっては子どもへの暴力、小児性愛や人種差別を連想させるものがあります。
そのセンセーショナルな作品を、「我らが偉大なるムンク」の作品とコラボさせたことに、
眉をしかめた芸術評論家、メディアの記者が多かったんだそうです。
会期中、警察に通報されたり、ムンクの末裔が怒りのクレームを言ってきたりと
とにかく話題には事欠かない企画展でした。
結果、この企画展は異例の入場者数を記録し大成功に終わりました。
じゃ、一般市民はどう思っていたか?
実はクレームは10件しかきていなかったそうです!
一部の肩書きがある人たちの意見が、世論を代弁しているかのように報道される昨今の
メディアのあり方に問題提起したと言えるでしょう。
この時に、ムンク美術館で専門家などを招いた討論の場が設けられました。
これは一般公開されていて、その時に出た意見がとても面白いです。
- 「カタログの議論って、そこまで大事ですか?ただの紙じゃないですか」
- 「それよりも、このコラボ企画の共演者リストに、女性アーティストがいないのね。男女平等じゃないわ」
- 「キュレーターの役割についてもっと議論すべき。ここまで自由にさせていいものか?」
- 「『思春期』だって問題があるけど、誰もそこを指摘しませんね。40代の男性が、10代前半の裸の少女をモデルにして描いたであろうものですよ?私たちはムンクの絵に対して、受身で寛容すぎるのでは?」
- 「ムンクへの思い入れはノルウェー人は強いけれど、個人的な感情と、専門家としての客観的な判断は切り離すべき」
- 「展覧会の内容を“理解するのが難しい”と感じる訪問者を笑ってはいけません。コミュニケーションがしっかりできていないから、今回の騒動があるのです」
面白いですよね。(*^◯^*)
最後の意見なんかは大事なことだと思います。
日本人はアートがわからないと嘆くのではなく、わかるように説明すればいいだけです。
これは何もアートに限らずな意見だと思いました。
この企画展については言いたいことが止まらないので、興味を持った方はぜひ調べてみて
下さい。
今回の東京都美術館のムンク展に付随して?パルコミュージアムで
「ニュウ・ムンク展」も開催されるそうです。
https://art.parco.jp/parcomuseum/detail/?id=82
合わせて足を運ぶと面白いかもしれません。
いい悪いは別として、日本でも「メルガード+ムンク」展のような刺激的な企画展が
開催されて欲しいなと思います。
それでは皆さま今日も良い1日を。