おはようございます。S&Tの上村です。

先日、山形ビエンナーレの一部を見てきました。

ちょっと怖いようなドキドキする『100ものがたり』を見ていて、

冨安由真という作家を思い出しました。

彼女は新進アーティストの活動を応援する公募展

「shiseido art egg」(シセイドウ アートエッグ)の今年の選出作家です。

彼女の作品は心霊現象や神秘体験といった超自然現象、

あるいはデジャブのような不可思議な体験をモチーフに作られています。

心霊というとどうしても胡散臭いイメージがつきまといますが、

現実の不確かさや曖昧さを表現しているのだと思われます。

彼女はこう言っています。

『私は非科学的で曖昧な領域によって、人が救われることは珍しくないと思うんですね。

 例えば、幽霊にしても、単純に「怖い」という反応があるいっぽうで、大切な人が死んだと

 き、「本当」かどうかはさておき、霊的なものを信じることで救われる人はいる。

 なので、簡単に否定的なもの、馬鹿げたものとは考えられないとは思っています。』と。

素敵な考え方だと思います。

また、こうも言っています。

『美術において非現実的な世界は普遍的なテーマですが、とくに近代以降、

 そうした精神的な領域は、美術の世界で真剣に扱われてこなかった。

 その意味でも、非現実性や死生観を再考する作品には、今日的な意味があると思います。』

これを聞いた時、なるほどと思わず納得してしまいました。

彼女は、鑑賞者に違和感というか、狐につままれたような体験を与えられたらなと

考えています。そして、現実とは何かという思考を、鑑賞者の方が普段の生活にも

持ち帰ってもらえたらと考えているようです。

彼女の作品で体験したことが心に残り、日々のなかでもドキッとする体験をしてくれたら

いいなと。

現実と非現実が曖昧になる経験というのは、意外と日常のなかに溢れているもの。

それに気づく機会になればいいとも考えているようです。

アートは人のためにあるもの。

人にとって生死や信仰が切り離せない存在である限り、

彼女の作品の現実と非現実の境界を問う視点は必然と言えるでしょう。

お化け屋敷とは違う、アートな心霊体験。面白いと思いますよ。

変な目で見られるのであまり言いたくありませんでしたが、実は私、数々の心霊体験を

しています。それが本当であろうがなかろうがどっちでも良いと思っています。

もしかしたら、アートショップでもそんな体験をしちゃうかも。

しゃねげど。笑

それでは今日も良い一日を。