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Franz Gertsch
Franz Gertsch

Franz Gertsch フランツ・ゲルチ

1930年スイス生まれ。2022年没。
巨大な肖像画や風景画で知られるハイパーリアリストの現代アーティストです。
彼は木版画と絵画の両方を制作しますが、撮影された被写体の生命の明るさを捉えようとして、ラピスラズリ、アズライト、マラカイトなどの顔料を使用し、必要に応じて元の画像から逸脱します。
彼は自分の制作について「私が写真のオリジナルに集中すればするほど、私はそれから離れていきます」と言っています。
彼は2022年12月21日に亡くなりましたが死の直前まで制作をしていました。
ゲルチュの父は歌手でした。その影響で幼い頃にピアノを弾き始め、音楽家を志していました。画家では食べていけないと恐れていたようです。しかし、結局彼は芸術の道を選びました。ゲルチュは絵画とピアノ演奏の間に明確な類似点があると考えていました。目に見える自然は、「ピアノ奏者にとっての音符」のように画家が解釈しなければならないものでした。
彼が最初に成功を収めたのはポップアート的な絵でした。しかし、すぐにそれは自分には合わないスタイルだと気がつき、もっと躍動感のある絵を描きたいと考えていました。そして写真をもとに徹底的に写実的に描く「ハイパーリアリズム」を採り入れ、日常的でありきたりな場面の人々を描く大型作品を制作するようになります。
1970年代半ば、ベルン州シュヴァルツェンブルガー地方のリューシェックにある古い農家に引っ越しました。
そこで転機が訪れます。自然の成長やあるがままの姿が持つ神秘性に、彼は魅了されました。そこでの生活で『この自然が持つ多様性はいかにして成立するのか?』『この構造、この動きを成立させるほどの創造力を持っているのは誰なのか?』と彼は思います。そして、そこの自然はゲルチュにとって大きな存在感を放ち、晩年の作品で中心的な役割を占めるようになりました。
そこでの生活で彼の身の回りにあった自然は彼によって永遠の命を吹き込まれました。彼の作品には日々の散歩で発見した身の周りの植物や森の産物など多く描かれています。彼はのちにこう言っています。『美術館への来場者は作品の前で自分が散歩した時のことを思い出すでしょう。』と。
生命の表現としての自然を視覚的、精神的に体験することは作品のテーマでもありました。彼はただの葉っぱや流れる川の水面と同様に、人間の顔にも関心を持っていました。それは自然の本質であり、彼が作品の中に捕えようとしていたものでした。
彼はたくさんの国際的な展覧会に参加していますが、おそらく最も重要なのはドクメンタ5(1972)だと言われています。その際にハラルド・ゼーマン、ジャン=クリストフ・アンマンなどが主催するセクションで、「現実を尋問している」と評されました。
スイスの至宝と言われ、スイスのブルクドルフには、ゲルチュの作品に捧げられた博物館、フランツ・ゲルチュ博物館があります。

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