こんにちは。S&Tの上村です。モネの代表作『睡蓮(すいれん)』のなかで行方不明となっていた『睡蓮―柳の反映』が、パリのルーヴル美術館で破損した状態で発見されたというニュースがあったのを皆さん覚えていますか?

クロード・モネ《睡蓮―柳の反映》(1916)。茶色い部分は保護のために貼られた紙

これは松方コレクションの一つです。松方コレクションは1927年の川崎造船所の経営破綻の後散逸していましたが、パリに残されていた約400点は第二次世界大戦中の1944年に、フランス政府によって接収されています。この辺が日本とは違うところですよね。(⌒-⌒; )

戦後、1958年の『美術作品の所有権を日本国へ移転することを許可する命令』の公布を経て、1959年にフランスの国立美術館のために確保された約20を除く375点が、日本へと移送されました。しかし、『睡蓮ー柳の反映』はその存在は知られていたものの、移送リストにも確保リストにも載っていなかったそうです。

んで、再発見されたのが2016年9月。フランスの美術館関係者がルーヴル美術館内で発見しました。それで松方コレクションということがわかり、松方家から国立西洋美術館に寄贈されたものだそうです。

問題は作品の状態。かなり破損がひどく発見された時は上半分が欠損した状態だったそうです。去年から本格的に修復が開始されましたが、当初から完全に元の状態に戻ることはないと言われていました。破損前に撮影された白黒写真が残されていることから、今回、この写真をもとに絵を復元することになったそうです。

ここで登場するのが最新のデジタル技術!印刷会社大手の凸版印刷と国立西洋美術館がタッグを組んで修復作業に取り組んでいます。写真と絵の画像を重ね合わせたうえで、美術館が持つ絵画に関する研究成果を融合させて実際の色使いや筆のタッチなどを再現していくんだそうです。

何やらすごそうですね。技術の進歩がこういう良い事にだけ活用されればいいんですけどね(⌒-⌒; )

復元された絵は、6月11日から西洋美術館で開かれる企画展「開館60周年記念 松方コレクション展」で公開される予定だそうです。9月23日までやっているようなのでお好きな方はお見逃しなく。