こんにちは。S&Tの上村です。昨日は暖かかったですね。先日は季節外れの雪が降りどうなることやらと思いましたが…😅

さて、先日オークションにて出品されていた2つの作品がちょっと面白くて注目していました。

それがこちら。

Woman being filmed, Paris,1980 / Helmut Newton
Gelatin silver print from Private Property Suite I, printed 1984.
14 x 9 1/4 in. (35.6 x 23.5 cm)

もう一つがこちら。


Helmut Newton, Le temps des joyaux – French Vogue, Dec. 1979 , 1980 / Richard Pettibone
Polaroid print with silkscreened acrylic paint.
3 1/2 x 4 1/2 in. (8.9 x 11.4 cm)

誰が見ても明らかですよね。(笑)

意図的に並べられていましたが、面白かったのがそのエスティメイト(予想落札価格)。

オリジナルのヘルムート・ニュートンの作品(上の写真)のエスティメイトが$8,000 – 12,000 に対して、リチャード・ペティボーンの作品(下の写真)のエスティメイトが$10,000 – 15,000 。(笑)

『ん?』と思いますよね。

ま、作品が優れていればオリジナルもオマージュも関係ないのですがちょっと面白かったのでどのくらいで落札されるのか興味津々でした。

結果はヘルムート・ニュートンの作品が$10,795で落札されましたが、リチャード・ペティボーンの作品は残念ながら不落札でした。

さすが本家というべきか?

ちょっとリチャード・ペティボーンについて解説入れておきますね。

リチャード・ペティボーンは1938年、アメリカ・カリフォルニア州出身のアーティストです。アンディ・ウォーホル、エド・ルシェ、ロイ・リキテンスタインなど1960年代~70年代に脚光を浴びたアーティストの作品を精巧なミニチュアで模倣し、美術の価値体系にゆさぶりをかけるアプロプリエーションアート(盗用美術)の先駆者として知られており、今日でも議論されているアイデアの所有権とオリジナリティの本質について再考させるきっかけを、ユーモアを交えて投げかけた人物として知られています。

1962年にオーティス・アート・インスティテュートで修士号を得、初期には子供の頃のお気に入りだった電車や飛行機のおもちゃを表現した、シャドウボックスのアッサンブラージュを制作していましたが、同年に開催されたアンディ・ウォーホルのキャンベルスープ缶のギャラリーショーと、翌年開催されたマルセル・デュシャン回顧展に大きな影響を受け、1964年に初めてキャンベルスープ缶の小さな模倣作品を2枚制作したことがきっかけで、そのスタイルを確立していきました。2005年~2006年にかけてカリフォルニア州のラグーナ美術館で開催された大規模な回顧展や、2007年にMoMAで開催された「絵画とは何か?」展への出品は、ペティボーンの40年以上にわたるキャリアの集大成となりました。        

ペティボーンはアプロプリエーションアートなんでほぼほぼ作品は盗用なのですが、様々なアーティストがオマージュ作品として色々発表しています。例えばルフのリヒターのオマージュ作品であろうと思われるものやリヒターのデュシャンのオマージュ作品なんかも非常に面白いですよね。

そんなものも探すと中々面白いですよ。そして、明らかにオマージュの方が良かったりするものもあります。(笑)

『こんなの見つけたけど知ってる?』なんて話もしにS&Tへいらっしゃって下さいね。

たまにはこんな話題もいいんじゃないでしょうか?

やっぱりアートは面白い!

本日も湯浅克俊個展『時間の鏡』はお休みです。明日からは通常通り開催されますのでお間違えないように。

それでは皆さん本日も良い1日を。