こんにちは。S&Tの上村です。Y&ギャラリーのオープニング企画展『Photos』もいよいよこの土日で終了です。まだご覧になっていない方は私もおりますので是非足を運んで下さい。
さて、20世紀を代表する現代アーティストの1人シンディ・シャーマンはもちろん皆さんご存知かと思います。
彼女はさまざまなセレブリティや著名人、あるいは「誰でもない誰か」に扮したセルフポートレートの写真作品を発表してきた現代アーティストです。もうキャリアも40年以上になります。そんなシンディ・シャーマンが写真以外のメディアを使った作品を発表しているのはご存知ですか?
彼女が現在大きく関心を寄せているのが手を使った技法。デビューから現在まで、一貫して写真を用いたセルフポートレート作品を制作してきた彼女ですが、パンデミック以前から、次第に陶芸やタペストリーといった新たな表現技法に魅せられています。
その興味は、ロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーとパリのフォンダシオン・ルイ・ヴィトンで大規模な回顧展を開催した2019年から2020年にかけて育まれ、彼女は自身のインスタグラムに投稿した画像をモチーフに、タペストリーの作品シリーズを制作しはじめました。

タペストリー
タペストリー作品はすべて、数百年の歴史を誇るベルギーの伝統技法を用いて、ベルギーで制作されているんだそうです。
タペストリーでも余すことなく彼女らしい作品を作り上げています。カメレオンのごとく自らの外見を変える彼女のスタイルは、評論家たちが解釈するような「内なるファンタジー」の表現ではなく、むしろ自己を打ち消す行為なのだと彼女は言います。
「馴染みのある人物像やありきたりな見た目から、どれだけ離れられるか。その限界に挑戦するのが楽しいんです。子どもの頃からずっとそうでした」
ーシンディ・シャーマン
彼女が最初にタペストリーで作品を制作することを考えたのはおよそ12年前だそうです。それより遥か以前に山口さんは織物で作品を制作していたことを考えると驚きですね。
そんな山口さんの作品もY&ギャラリーにて思う存分堪能していただけます。
ぜひ足を運んでみて下さい。
というわけで本日は山口さんの作品です。

W:240cm H:120cm
PHILIP MORRIS Art AWARD 1996 入賞作品
【山口 英夫(Hideo Yamakuchi)】
1962年生まれ。
彼はコンピューターに早い時期から注目し、自らの創作の小道具として完全に我が物としたアーティストです。彼が取り上げるイメージは日常にありふれた素材がほとんどです。彼の作品は私たちが世界を見るときの視線を再現し、客観化させる装置となっています。その結果として、目に見えないものを顕在化させます。彼の創り上げる作品には人間が世界を見るまなざしの本質が感じられます。彼の作品はメトロポリタン美術館をはじめとして、数多くの国際的な施設で所蔵されています。
山口さんについては以前のブログを参照して下さい。
https://sandtart.net/未分類/山口-英夫(*敬称略)/
そんな山口さんの作品は常設展示でもご覧いただけますが、『Photos』でご覧いただけるのは今回のみ。ぜひ実物を見て欲しいなと思います。その迫力はやはり実物を見ないと伝わりません。皆さんのお越しをお待ちしております。